助けて!星野源のアルバム「POP VIRUS」が良すぎる

 

助けてほしい。

 

聴きましたか。

「POP VIRUS」

一曲目どうなってんのこれ。

無音の使い方が上手すぎる。静かなギターから入って、無音と星野源の囁くような声の連続。そこにキックとコーラスが来たと思ったら、いきなり現れる切り裂くようなシンセの音。本当、心臓が止まるかと思った。無音、シンセ、キック、星野、ギター、無音、割れる音、シンセとたっぷり緩急かけたところにお得意にストリングス。半端ない。完璧。

ビャーー!ってシンセの音が怖い。緊迫感のある音なのに何故かポップに馴染む。すごい。バランス感覚どうなってる。おい、どうなってる。あのシンセの音と優しい星野の歌声で揺さぶられ続けると死にかける。

そもそもこのアルバムに捨て曲がない。全部名曲。よく聞く文句だ。「捨て曲ナシ!!」こんな文言死ぬほど見てきた。その度にうんざりしたきた。今回も是非うんざりしてほしい。そしてうんざりした自分を後悔してほしい。本当に全曲良いから。保証書書くよ。

アルバムを通してミドルテンポの曲が多い。なのに、飽きない。退屈をさせない。聴ける。それは星野源の持つメロディセンスの強さもあるのかもしれないけど、やはり流れ込む音の新しさとか珍しさによるものが大きいと思う。少なくとも、手抜きで作ってると感じる曲はない。完成度がどの曲もべらぼうに高い。隙がないのだ、とことん。

自分は洋楽をあまり聴く方じゃないけど、源流はブラックミュージックに近いものがある。その中でもどの曲も総じて心地良いし、ポップ。洋楽という広いジャンルの中から日本人としての強みを活かせそうな要素を選びとって、再構築したような感覚。

 

星野源。とんでもない才能だと思う。

この人の声は不思議なものだと、近頃思う。元々星野源の楽曲にはどことなく影を感じずにはいられなかった。ポップなアーティストなのに聴くと、何故か感情的になってしまうような時もあって。なんか楽しくなさそう?って言ったらあれだけど、無理してる?って感じて。

気づいたけど、この人の声、暗い。

曲とか歌詞は基本明るいのに、声質というか、声の成分がかなりブラック。本質的に暗いのだ。

なんかすごい悪い意味に聞こえそうだけど、これこそが魅力じゃないかなって思います。この人じゃないとアイデアみたいな曲歌えないよ多分。

この人の歌詞ってパッと見たら明るいんだけど、ちょっとしたフレーズとかから怒りとか悲しみみたいなマイナスな感情を節々に感じとる事がある。それが怖い。曲が明るいのが逆に怖い。

陰と陽を兼ね備えた人って結構いると思うんだけど、星野源は本当に極端。あるじゃないですか、みんなから人気者で勉強もスポーツもできるヤツなのに何故か一人の時間があって、その隙間にものすごい闇を感じて勝手にゾッとする経験。ないですか?俺あるけど、ないの?

そういう圧倒的ポップに隠された巨大な闇をこの人からは感じて。だから、これはただのポップではないなと思うわけです。光だとか闇だとか、暗いとか明るいとか、そういう二元論では簡単に語れないような。複雑でグッチャグチャの感情が存在してる。そういう人間の面倒な部分をこうやって表現できるのはただただ凄い。凄いし、羨ましい。

聴いてると、なんか悲しかったり、辛かったりしてくるのに何故か心地良くて、なんか頑張ろうって思えるんです。ずっと聴いてるマジで。リアルポップウイルスなんすわ。誰だよアルバム名付けたヤツ天才だなお前は。

 

素晴らしいアルバムです。多分、一生寄り添っていくアルバムなんだなと思います。

 

聴いてほしい。アルバム貸すよ。

 

以上です。